日英共同ST-40合体実験で2300万度達成
2つのトカマクプラズマを合体させ,磁場を上げれば,磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクション現象)の巨大な加熱効果によって中型トカマク実験装置でも核融合炉成立の目安:1億度を達成できる。小野研で見出したこのスケーリング則を元に,核融合ベンチャー企業Tokamak Energy社でST-40トカマク合体実験(写真左上)の試運転がはじまっています。まだ,試運転段階で不完全な合体運転ながら,合体だけで2300万度のイオン温度を得ました。この規模の球状トカマク実験としては極めて高い温度です。まだ,磁場を上げるのはこれからですので,成果が期待できます。東大側はキーとなるイオン温度計測や合体運転のノーハウの面からこれに貢献し,小野研学生,教職員の本格的な派遣が行われています。当研究室から,田辺助教,博士学生の秋光が参加し,肝心のイオン温度分布計測を担当しています。東大でも2次元計測に特徴のある新装置TS-6が順調に稼働し,本格的に磁場を上げる実験をはじめており,物理解明の面から相補的な実験となる予定です。Tokamak Energy社は英国オクスフォード郊外にあり,英国の核融合研究の中心であるカラム研究所(写真右上)にも近く,3月末は多くの花が咲く春を迎えています(写真右下)。夜は皆でイングリッシュパブを訪れ,エールビールを楽しんでいます。