研究動機
小野,井,田辺3人の教員からなる当研究室の目的は、簡単に言えば次世代新エネルギー源の「早期」実用化です。現代文明は21世紀に入ると人口爆発、環境破壊、資源枯渇のため環境問題の危機、エネルギー危機に瀕するといわれており、CO2 を大量に放出する化石燃料からの一刻も早い脱却が是非必要です。次世代の基幹エネルギー源としての絶対条件は
- 資源量が豊富で
- 環境保全性に優れ
- 経済的に安定利用できる
ことです。現在使用されているエネルギーはもちろん、提案されている多くの新エネルギー源もこれらの条件を満たすものは少なく、抜本的な解決を図れる候補は現在のところ、
A. 核融合発電
B. 宇宙太陽発電
の2つといわれています。エネルギーは保存するので,再生可能エネルギーでも何でも「自然からエネルギーを奪って人間の使いやすいエネルギーに変えて利用」する必要があります。CO2を吸収する緑の山が太陽光発電のためにはげ山になるのを見て少し疑問に思った方をおられるでしょう。海水中の重水素程度と「自然から奪うものが最も少ない核融合エネルギー」は,今後益々注目されるはずです。問題はこれらのいずれもが実現に30-50年程度の長い時間がかかると予測されていることです。これでは温暖化に間に合いません。当研究室では既に過去10年,我々のアイデアを採用した核融合ベンチャー企業との協力をいち早く進めており,その早い意志決定を用いて核融合炉実用化を大幅に早めようとしています。最大の課題は3.の経済性です。
「何とか核融合炉を小型、コンパクトにして経済性を高め、差し迫ったカーボンニュートラルに早期に役立てることはできないでしょうか?」
当研究室の研究の出発点はこの点にあります。
そこで当研究室の研究対象は、それらのエネルギー源そのものであるプラズマです。研究分野は、核融合発電をキーワードにして、特に核融合を実現に導くファーストステップのアイデアの提案、実証を行っています。また、アイデアを求める過程で、太陽プラズマ、宇宙プラズマの研究、所謂実験室天文学の分野、さらにはプラズマ計測法の開発、プラズマ産業応用までを幅広くカバーしいます。
研究で大切な点は、「オリジナルな研究」(オリジナリティー)を「他人に先駆けて」(一番最初であること)、「ものにすること」です。「学術性の高い」(学問の本質になるべく近い)ことも大切なポイントです。まだ海の物か山の物かわからないものを、解明したり、確かに役立つことを見出すことが研究の醍醐味といえます。