実験設備
当研究室の主要実験装置は以下の3基です。
[1] TS−3U球状トーラス合体実験装置(Tokyo University Spherical Torus Device No. 3 U)1985年稼働 2016年改修 ——>——–>——->——–> ——>
TS−6球状トーラス合体実験装置(Tokyo University Spherical Torus Device No. 6)2019年稼働
装置パラメータ:大半径0.2m, 小半径0.15m(2個生成・合体可能), 磁場0.1T→→→0.5T, イオン温度10-250eV→→→5keV, 電子温度10-20eV→→→2keV?, 電子密度 2×1019-5×1020 m-3
単一装置で磁場反転配位(FRC)、逆磁場ピンチ(RFP)、スフェロマック、球状トカマク(ST)まですべての内部電流系球状トーラスの 生成、相互比較が可能なユニークな核融合プラズマ実験装置です。大きな特長は上記のトーラスを複数生成してそれらの軸方向合体や磁気リコネクションが検証できることです。国内はじめてのトーラスプラズマ合体実験装置として、世界の磁気リコネクション室内実験の創成や、磁場へ反転配位FRCのスフェロマック合体生成、STの合体による急速加熱のアイデアの実証に貢献し、世界の合体実験の草分けとなった。2016年からは高磁場合体加熱プロジェクトTS-Uがスタートし,TS-3装置も再結合磁場を5倍に高める改造を行い,TS-3U合体実験装置として徐々に高磁場合体加熱実験を進め,2019年からは真空容器もコイルも一新され,TS-6球状トーラス合体実験装置となりました。
[2] TS−4U球状トーラス合体実験装置(Tokyo University Spherical Torus Device No.4 U)2004年稼働, 2017年改修
主要パラメータ:大半径0.5m, 小半径0.4 m(2個生成・合体可能), 磁場0.05T→→→0.2T, イオン温度~10-100eV→→→1.2keV, 電子温度10-20eV→→→300eV, 電子密度5×1019m-3
TS-3装置を約3倍にスケールアップしたトーラスプラズマ合体実験装置であり、電源容量もMJクラスにアップグレードされた。単一装置で磁場反転配位(FRC)、RFP、スフェロマック、球状トカマク(ST)まですべての内部電流系球状トーラスの 生成、相互比較が可能なユニークな核融合プラズマ実験装置である。低qトーラス生成のため、プリンストン大学からフラックスコアを導入した他、両サイドには同軸プラズマ銃を持ち、4個までのプラズマ合体実験に対応できる。トーラスプラズマの軸方向合体、特に磁気リコネクションが検証できる他、さらに磁気リコネクションの応用としての核融合プラズマの急速加熱・電流駆動が検証できる。リコネクション加熱後の追加熱のため、中性粒子ビーム入射装置を3基、九州大学、日本大学、核融合科学研究所、大阪大学の協力により、設置した。2016年からは高磁場合体加熱プロジェクトTS-Uがスタートし,TS-4装置も再結合磁場を3倍に高める改造を行い,TS-4U合体実験装置として徐々に高磁場合体加熱実験を進めている。
[3] UTST球状トーラス合体実験装置(University of Tokyo Spherical Torus Device)2008年稼働
主要パラメータ:大半径0.45m, 小半径0.38 m(2個生成・合体可能), 磁場2kG, イオン温度(未計測), 電子温度(未計測), 電子密度5´1019m-3
磁気リコネクションによるトカマクプラズマの急速加熱を実際の核融合炉に外部コイルで実証するための大型新規設備であり、総てのコイルが真空容器外にある点が特徴である。規模はTS−4とほぼ同規模と言える。外部コイルだけで2個のX点を真空容器内に生成し、2個の球状トカマクを生成させ、合体によりプラズマを急速加熱する。リコネクション加熱後の追加熱のための、産業美術総合研究所の協力により2010年に0.75MWの中性粒子ビーム入射装置が設置された。
その他の実験装置
[4] 中性粒子ビーム入射装置
第1号機は、九州大学、核融合科学研究所との共同研究によって開発されたワッシャガンをプラズマ源とする新しい中性粒子ビーム入射装置である。
第1号機:電圧15kV, 電流40A, 出力0.6MW
第2号機:電圧15kV, 電流20A, 出力0.3MW
第3号機:電圧15kV, 電流20A, 出力0.3MW
第4号機:電圧25kV, 電流30A, 出力0.75MW
[5] TS-2’プラズモイド放出実験装置
実験室でプラズモイド放出を模擬するための実験設備であり、同軸プラズマ銃と放出用の長軸の真空容器管から成り立っている。
TS-3実験、TS-4実験、UTST実験が契機となって、現在、このタイプの類似装置がプリンストン大学やカリフォルニア大学をはじめ、多数建設されており、今年度、ついに10基に達した。今年から先端研究拠点プログラムが日本学術振興会によって認められ、これらの研究グループと研究協力や人員交換をはじめている。今後5年間、ネットワークを組んだ研究を通じて、磁気リコネクション物理や自己組織化物理の解明、さらにはそれらの応用を開拓していく予定である。