太陽・宇宙プラズマの解明と利用 −−実験室天文学–

1. 磁気リコネクション現象の解明  -太陽・宇宙プラズマの実験的解明-

太陽フレアや磁気嵐をはじめとする宇宙プラズマ現象がプラズマ合体実験装置で解明できることがわかってきた。同合体実験によってモデル実験を行うと、磁力線のトポロジー変化のキーとなる磁気リコネクション現象がシミュレートされ、3成分磁場構造効果が見出された他、太陽フレアで見られるXポイントの加速・異常加熱現象が理論予測通り発生することがわかってきた。特に、理論的に予測されてきた異常抵抗が電流シート幅がイオンラーマ半径以下に圧縮された時に発生する点を見出し、磁気リコネクションの解釈を従来の電磁流体力学(MHD)的なものから粒子運動論へ高めるものといえる。今後はこの異常抵抗の根元が何か?Xポイントの磁場構造変化がリコネクションに結びつく理由などを解明していく。太陽エネルギーはD-D核融合反応によって発生しており、いわば核融合研究のお手本のひとつといえる。太陽や宇宙のプラズマ電磁現象の解明を通じて、核融合研究にも役立つプラズマ実験物理を深めたいものである。

衛星ようこうによる太陽の軟X線写真

衛星ようこうによる太陽の軟X線写真:表面には磁力線のループ構造が無数にありそれらのリコネクションにより加熱されている。大規模なつなぎかわりは大規模な爆発現象、いわゆる太陽フレアとなって地球にも磁気嵐となって影響する。

太陽の爆発現象:フレアの発展の様子

太陽の爆発現象:フレアの発展の様子

もっと詳しく知りたい

  • 朝日新聞社科学雑誌「サイアス」(2000年7月号)参照

2. 太陽宇宙発電 -マイクロ波送電技術の開発-

ひとたび、宇宙空間にでれば無尽蔵の太陽エネルギーを利用できないか?という発想で太陽宇宙発電というアイデアが提唱されている。宇宙空間の張った 太陽電池パネルで電力を得るもので、核融合と並んで、地球に必要なエネルギーの絶対量をまかなえる数少ない新エネルギーとして期待されている。問題は地球 までのいかに送電するのかということになる。現在のところ、マイクロ波で送電するとのアイデアが述べられているが、プラズマで満たされた宇宙空間や大気圏 で如何なる現象を引き起こし、安全に効率よく送電できるかが問題である。プラズマのある環境下でマイクロ波送電が如何なる効率で実現できるかを検証する。

太陽宇宙発電の概念
太陽宇宙発電の概念

太陽宇宙発電計画(NASA)
太陽宇宙発電計画(NASA)